研究概要 |
●平成17年の水産学会で発表したシラスウナギが磁気コンパスによる方位知覚の能力を持つとの知見を基に平成18年の1〜3月に定位行動実験を行ったが、測定地域により異なる結果もあった。シラスウナギは漁期が限定されているため、次の平成19年1〜3月に行動実験を行い、南側に定位する傾向が認められた。 ●研究代表者と分担者はシラスウナギが既に磁気感覚を持っていることを明らかにし、黒潮の下を通り最短距離で産卵地のマリアナ諸島西方海域へ回遊する仮説をたてた(Anguilla japonica is already magnetosensitive at the glass eel phase. T.Nishi and G.Kawamura,2005)。この仮説を実証するために、黄ウナギと成熟初期銀ウナギの網膜が深海に対応した組成になっているか調べ、黒潮をくぐって進める結果を得、平成19年3月の水産学会で発表した。 ●魚の磁気感覚に関する実験は、地磁気に人工時期を加えることにより実施してきたが、地磁気の無い状態を調べることは不可能であった。我々は、ヘルムホルツコイルの向きを地磁気と同じにすることと精密に電流を制御することにより、地磁気キャンセルを実現し、ウナギを地磁気キャンセルの場に置くだけで、心拍間隔が広くなるという無条件の反応をするとの結果を得た。
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