研究概要 |
(a)志布志(太平洋岸)と川内川河口(東シナ海岸)の2箇所で捕獲されたシラスウナギをそれぞれ2箇所で方位選択実験を放射状に区切った円形水槽で行った。両方の個体群は、鹿児島西海岸の川内川河口域では、南西〜南の指向性を示したが、鹿児島東海岸の志布志の個体群は年によって、また試験場所によって指向性が異なった。そして、地磁気をキャンセルすると方位選択の指向性は消滅した。シラスウナギの収集時期により、方位選択性が異なるようであった。 (b)鼻かその周辺に存在することを我々が示唆したウナギの磁気感覚器の部位を特定するために、嗅索を切断し心拍条件付け法によって、磁気への条件反応テストを行った。対照とシャムオペレーションのウナギははっきりとした条件反応を示し、嗅索切断のウナギは条件反応を示さなかった。この結果は、嗅索が磁気感覚の神経細胞を含むことを表しており、磁気感覚の神経細胞の識別は今後の課題である。 (c)人工的に成熟させたウナギの網膜を野生黄ウナギの網膜と比較したところ、錐体は網膜上部で消滅するが、桿体の密度は変化しないという半-深海の状態を表した。このことから、黒潮を横切って産卵地へ遊泳すると仮定すると、流速の遅い深い水深で活動できる水温10℃以上である600m付近かそれ以浅をとおる可能性があると考えられた。 (d)ウナギは地磁気キャンセルした場では、条件付けなしで心電反応を示した。,この現象は魚の磁気感覚の考察に適用できる。 (e)既に磁気感覚があることが分かっているムツゴロウが磁気感覚を用いて定位行動することを調べるために、円形水槽で方位を学習させる学習実験を60匹以上の個体で行ったが、学習する結果を得られなかった。
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