研究課題/領域番号 |
17560049
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
富岡 智 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40237110)
|
研究分担者 |
西山 修輔 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30333628)
|
キーワード | 遺伝的アルゴリズム / シュレディンガー方程式 / 固有関数展開 / 境界積分方程式 / 電子 / 波動関数 |
研究概要 |
分子の結合状態は、原子核の回りに分布する電子の状態で決まり、この状態はシュレディンガー方程式と呼ばれる偏微分方程式によって表わされ、一般に、数値解法が用いられる。本研究では、電子の分布を表す波動関数を固有関数展開(既知の固有関数が任意の重みの重ね合わせ)で与えられると仮定し、その展開係数(重み)をシュレディンガー方程式が満足するように決定する。さらに、偏微分方程式を領域積分を含む積分方程式に変換し、固有関数にある条件を満足するように選ぶことにより、領域積分を級数和に変換する手法を提案している。この方法では、通常の偏微分方程式の解法に必要な格子が不要であること、さらに領域積分も不要であることから、いずれのプロセスにも離散化による近似を含まないのが特徴である。展開係数の決定には、生物の進化を模擬した遺伝的アルゴリズムを用いている。遺伝的アルゴリズムは、数学的な手法ではなく、効率の良い解の探索アルゴリズムである。 昨年度までは、幾つかの条件での球対称水素原子モデルを扱いおおむね良好な方法が得られていたが、今年度は、これを電場中の水素原子のような非球対称系を評価するために、新たな固有関数群の採用し、球対称モデルと同様な定式化が完了した。一方、複雑な系では遺伝的アルゴリズムの収束が悪いことに対する改良を行ったが若干の改善のみであり、実用に耐えうるものではなかった。そこで、領域内に選点をとり、選点毎に独立に固有値を含む積分方程式を構築し、これらを連立させる方法も検討した。後者の結果、電場中の電子分布の分極(シュタルク効果)の解析が可能となり、定性的な一致をみた。
|