研究課題
基盤研究(C)
連立一次方程式に対するクリロフ部分空間反復法である一般化残差最小化(GMRES)法を、写像行列を用いることにより、大規模な最小二乗問題へ適用する解法に関する研究を研究協力者の伊藤徳史氏と行った。具体的には、もとの最小二乗問題の係数行列A、写像行列をBとして、正方行列ABを係数行列とする系にGMRES法を適用する方法と、BAを係数行列とする系に適用する方法を提案した。そして、優決定、劣決定、ランク落ちを含めた一般の場合に提案した手法が破綻せずに最小二乗解に収束するためのA、Bに関する十分条件として、R(A)=R(B')かつR(A')=R(B)を導いた。ただし、Rは像空間を表し、'は行列の転置を表す。また、BとしてAの転置と対角スケーリングを組み合わせた簡単な場合について従来法(CGLS法)と数値実験により比較した。その結果、条件の悪い問題では提案手法の方が計算時間が少なくて済むことが判明した。これらの研究結果を和文論文にまとめた。さらに、ある条件のもとで上記のABとBAの固有値が一致することを示し、それに基づいて上記の各手法の収束速度に関する理論解析を行い、国際学会で発表および招待講演を行った。また、脳磁界逆問題で生じる連立代数方程式の数値解法に関しては、近似方程式の解析解を初期解とするホモトピー法を用いて、頭部表面の2点での磁界とその高階微分の観測値より2個の脳内電流双極子を同定する方法の研究を研究協力者の石井政行氏と進め、論文を執筆中である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件)
統計数理 53・2
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日本応用数理学会2005年度年会講演予稿集
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