研究課題
基盤研究(C)
700℃級の超高温高圧タービンの高温部材として使用されるNi基鍛造超合金の高温水蒸気環境中での、材料劣化メカニズムの解明ならびに破壊メカニズムの評価と材料強化機構の検討を行うために、応力誘起酸化割れ評価装置による負荷下にて発生した割れの形態ならびに割れ先端部での酸化物状態に着目した評価を実雄した。750℃水蒸気環境試験部に四点曲げ治具を設置した応力誘起酸化割れ評価装置を製作し、Ni基超合金について応力負荷下での高温水蒸気環境中での酸化劣化挙動を調査した。インコネル718、625、617のいずれの合金においても、Cr富化した酸化皮膜が形成され、その直下にはCr欠乏層が形成されていた。また、それらの酸化速度は皮膜厚さの計測により、応力負荷により加速されていることが分かった。特にインコネル718においては皮膜はく離が生じ応力の影響が顕著であった。また、617合金では、応力による皮膜成長速度の相違は小さかったが、皮膜下の母地合金には多数のボイドが観察された。これらボイドの形成はCrの酸化によるものと考えられ、外方拡散による酸化が支配的と考えられた。インコネル718においては、粒界に沿った選択的な酸化やくさび状の空隙部が観察され、空隙部近傍について、元素分布を調査したところ、Al、Tiの濃度が酸化の進行とともに増加し、また、応力負荷に伴いより顕著になる事が明らかとなった。上記拡散挙動の定量的な応力依存性の調査のため、段付き丸棒試験片による一軸定荷重負荷試験を実施したところ、35MPaまでは明瞭な粒界の選択酸化が確認されなかったが、78MPaにおいて粒界の選択酸化と空隙部が観察された。従って、インコネル718合金の高温水蒸気中の劣化は、応力により粒界近傍への酸化の局在化ならびにそこでの酸化が促進されることにより生じると結論づけられる。
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日本機械学会論文集 B編 73巻725号
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日本機械学会東北支部 第42期総会・講演会講演論文集 No. 2007-1
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