研究概要 |
本研究では,構造部材の非破壊評価法の一つである超音波探傷法の精度・効率の向上を図るために,従来にない構造・特性を有する接触型線集束探触子を開発し,その高性能化を図るとともに,この探触子を利用した新しい超音波探傷法を確立することを目的とした.開発した探触子は,従来の探触子に比べて,薄板のLamb波,コーティング層の一般化Lamb波,バルク材の円筒面波,およびバルク材のRayleigh波などが容易に励起・検出できるという特徴を有する.本研究の結果,次に示す成果を得た. 1.接触型線集束探触子の改良・試作を繰り返し,超音波振動子の材質を従来の圧電高分子から圧電セラミックス,さらには圧電コンポジット材料に変更することにより,探触子の感度を格段に向上させた. 2.開発した探触子を用いて,TOFD法によるき裂の非破壊評価に関する実験を行い,従来に比べてより小さなき裂の検出および寸法評価が可能であることを確認した. 3.縦波型の探触子に加えて新たにSH波型の探触子を試作し,その指向性を詳細に調べるとともに,SH波を用いたTOFD法によるき裂の非破壊評価の可能性を検討した. なお,以上の成果の一部は,ニュージーランドにて開催された12th Asia-Pacific Conference on Non-Destructive Testing 2006(第12回アジア太平洋非破壊試験国際会議)で公表した.今後は,SH波型の線集束探触子の試作・改良を行い,SH波を用いたTOFD法によるき裂の寸法測定の高精度化を引き続き研究する予定である.
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