研究概要 |
強い衝撃波透過による部材の力学特性変化を把握しその結果を円筒の爆発分裂モデル構築への適用するため本年度は下記の成果を得た。 (1)強さを制御した平面爆轟波を金属円板試料に直接入射させ、衝撃波が透過した損傷のない試料収集する手法を開発した。 【準備】試料:アルミニウム合金A2017円柱素材から切出した円板/50mm径/平面爆轟波入射方法:平行銅細線起爆法/入射衝撃波の制御:PETN爆薬厚さによって調整、【MT法】モーメンタムトラップ(MT)装着:MT、試料円板、PETNの3層構造を爆薬側から面起爆させると試料を透過した圧縮波がMTの自由表面で反射後に引張波に変わるが、そのことがMTと試料境界面を分離させ、圧縮波のみが透過した試料円板が回収できた。【実験条件】PETN厚:15mm(一定)、A2017厚(mm)/MT厚(mm):5/5,10/5,15/5,5/10,10/10,15/10,5/15,10/15,15/15の9条件で実施し、大きな損傷なく圧縮応力波通過材を作成することができた。 (1)9種類の回収試料断面でマイクロビッカース硬度計測を行った。処女材のMVH=144.3に対して、圧縮波通過材のMVHは7%〜28%の硬度上昇が計測でき、材料の脆化が推測された。全般的な傾向としてはモーメンタムトラップ厚が薄いほど硬度上昇が少なく、また断面に微細な亀裂の発生が認められた。これらの傾向はAutodyn2Dによる3層構造中の応力解析から説明可能であった。 今後は、微細な引張試験片を採取して伸び・絞り値の計測を計画している。また、爆発円筒材としてデータが豊富なSUS304材についても同様な実験を行う予定である。 (2)A15052、SUS304材の円筒供試体内に円柱状PETNを装填して軸起爆させ、変形・分裂破壊挙動を計測した。爆薬径を変えることで初期圧縮波負荷の影響について考察でき、また供試円筒に切欠を設けることで切り欠感度効果も把握される。実験はまだ一部が終了しただけであるが、通過圧縮応力波の強度によって分裂エネルギーや材料脆化度の変化が予測できる結果が得られている。また平面応力波通過後の剥離破壊であるスポールについても関連実験を実施している。
|