研究課題
基盤研究(C)
本研究は、はんだ接合部の組織変化に基づいた熱疲労き裂発生寿命評価方法を用いて、電子基板はんだ接合部の信頼性向上やリユースによる環境負荷低減に資することを目的とするものである。第1年度は、Sn-Ag系鉛フリーはんだの組織変化に基づいた熱疲労寿命評価方法の精度向上のため、小型ラップジョイント試験片を用いて、25℃、75℃、125℃での無負荷試験及び125℃での疲労試験を行い、相寸法変化、きれつ発生の有無を観察した。第2年度は、Sn・Ag系鉛フリーはんだの組織変化に基づいた熱疲労寿命評価方法の精度向上を継続し、熱サイクル試験用の試験片製作と有限要素法による解析を行った。第3年度は、電子基板の故障時および使用段階における寿命予測に必要な組織変化に基づいた熱疲労寿命予測方法の精度検討を行うため、SrAg系鉛フリーはんだを用いた電子基板試験片の熱サイクル試験を実施した。その結果、相成長に及ぼす温度やひずみの影響を分離し、相成長パラメータは、温度に対しては一定時間で飽和すること、また、ひずみに対してはひずみ速度によって異なる影響を受けることを明らかにした。現状では、相成長パラメータに対する温度、ひずみの影響を定量的化することは難しいが、温度、ひずみ両者の影響を含んだ相成長パラメータが、力学的パラメータのクリープひずみとよい対応を示し、熱疲労き裂発生寿命の評価パラメータとして有効であることを明らかにした。さらに、熱サイクル試験結果から、サイクル数の少ない段階での相成長パラメータによる熱疲労き裂発生寿命の予測精度が、すでに求めてあるマスターカーブに対して±10%程度であることを確認した。以上により、電子基板はんだ接合部のひずみ履歴予測方法および熱疲労余寿命予測方法の基礎を築いた。これらは、電子基板はんだ接合部の信頼性向上やリユースに寄与するものである。
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