研究概要 |
研究の最終年度として,引き続きマクロレベルの解析および機械的性質の測定実験を行った.種々の実験を行い,晩材部と早材部毎の弾性係数の測定を行った.さらに,ミクロなナノインデンテーションによる実験を行った.最後に,研究のとりまとめを行った. 1.晩材と早材部毎の弾性係数の測定.:以下の2種類の方法を考案した (1)木材からなる試験片を切削により除去しながら引張試験を行い,晩材と早材部毎の弾性係数を同定する方法:本年度は,前年度明らかになった精度的な問題点の解決を試みたが,期待出来るような効果は得られなかった. (2)新たに,木材からなる試験片を切削により除去しながら曲げ試験を行い,晩材と早材部毎の弾性係数を同定する方法:この方法は(1)に比べ,かなり精度良く,晩材と早材部毎の弾性係数を同定することが出来ることが分かった. 2.年輪を考慮したFEM解析:前年に引き続きシミュレーションの精度を高めるべく,種々の検討を行った.実験結果と統合することにより,複雑な年輪構造を持った場合にも適用出来る可能性が示された. 3.ナノインデンテーション試験:前年から準備を始めた実験を実施し,晩材と早材部毎の弾性係数を同定することが出来た.しかし,得られた結果は,マクロな結果とは最大数倍の差が生じている.今後,この原因を解明する必要がある. 1,3の結果は,材料学会,機械学会等の講演会において発表された.得られた結果より,晩材と早材部毎の弾性係数の同定が比較的簡単な実験により得られることが分かった.
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