研究概要 |
近年,環境負荷低減のため自動車産業では車両の軽量化が進められているが,事故時の衝突安全性を維持あるいは向上させながら軽量化を行う必要があるため,衝撃吸収性に優れた軽量構造部材の製造が必要不可欠である.発泡アルミニウムは,軽量で衝撃吸収性に優れた多孔質金属で,リサイクル性も良い材料である.現在製造されている発泡アルミニウム材料の形状は板や円柱などの単純な形状で,用途に合わせて切削により成形されている. 本研究では,発泡アルミニウム材の任意形状への成形方法として,発泡剤を混合したアルミニウム粉末材より圧粉,押出し,発泡,型充填を同一装置で連続して行い,発泡アルミニウム部品を作製する一連成形技術の開発を行う.本年度は,粉末から一連の工程で発泡アルミニウム部品の成形を行う実験装置を設計,製作し,開発技術の可能性について明らかにした. 作製した装置は発泡剤を混合した粉末の側方押出しによる圧粉固化体作製部と,圧粉固化体を発泡させながら金型に押し込み成形する押出し発泡成形部とから構成されている.圧粉固化体作製部では,コンテナ内にアルミニウム合金A6061粉末と発泡剤として用いるTiH_2粉末の混合粉末を入れ,材料試験機を用いて圧粉と同時に圧粉固化体を側方に押出す.そして,押出し発泡成形部において,A6061合金の液相線温度以上に加熱された発泡ダイス内に押し込み,発泡ダイスからの伝熱により圧粉固化体を溶融,発泡させながら金型内へ押出し,成形する. 作製した実験装置における加工条件について検討するため,上面に拘束のない半円筒形金型を用いて押出し発泡実験を行い,最も密度が低い発泡アルミニウムを作製する加工条件を確定した.そして,得られた加工条件を用いて発泡アルミニウムの金型充填成形を行い,粉末からの一連成形により相対密度0.24の発泡アルミニウムの作製が可能であることを確認した.
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