研究概要 |
日本の機械加工現場では,工作機械の加工廃液処理が重大問題となっている。加工液には鉱油と極圧添加剤ならびに乳化剤が含有されており,作業環境と地下水を汚染し,そして最終的な廃液処理は重油を混入して焼却処分される。これの問題を解決のため,水のみを加工液として用いる電気防錆加工法を開発した.電気防錆加工法は水道水のみを用いているため,究極にゼロエミッション・エコマシニングが実現可能となる。 本年度は電気防錆法を円筒研削に適用し,研削性能と工作物表面品位との相関を調べた.さらに,電気防錆法を応用したアノードとカソードを用いた水中保管システムを構築し,防錆効果を検証した.本年度の研究実績の概要を以下に示す. 電気防錆法を円筒研削加工に適用することにより,最長1時間の防錆を可能にし,水のみでの加工を実現した.そして,この場合の研削性能は研削液を用いた場合の76%を有することが,研削抵抗および表面粗さの評価からわかった. 油剤・防錆剤を用いない水中保管法を電気防錆法の応用により開発した.防錆が可能となる期間は3日間にわたり,本保管法の有用性を立証した.そして,消費電力は0.03Wとなり運転コストの面においても良好な結果が得られた.さらに保管後の金属片の強度低下は見られず水素脆性の影響を受けないことがわかった.
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