研究課題
基盤研究(C)
本研究は大腿骨インプラントシステムにおいて人工関節再置換の原因と目されている超高分子ポリエチレン(U.H.M.W.P.E.)ライナーの摩耗抑制と骨頭の衝撃吸収や損傷防止機構の開発を行ったものである。また、合わせて患部のモニタリング技術を生かし、患者個々のサイズ・形状に合ったライナーを作成することにより患者に優しいインプラント供給を目指している。平成17年度はライナー形状を成形するための最適加工法を構築した。また、骨頭とライナーが摩擦する部分に生じる摩耗粉の抑制については、生体にやさしいDLC膜に関する基礎的ピンオンディスク方式を用いた摩擦試験を実施した結果、DLC膜やHND膜(ハイブリッドナノダイヤモンド)を施すことにより摩耗粉が抑制されることを明らかとした。さらに、厚み500nmで使用することにより30万回以上の摺動に対して十分な耐久性が得られることも明らかとした。一方、平成18年度はU.H.M.W.P.E.発泡ライナーの作成評価試験を実施し、ガス供給装置と圧力容器での加圧、セル核を成長させる加熱装置での発泡、そしてセルの成長を制御する冷却装置による冷却を経て、物理的発泡剤であるCO2を超臨界状態のもとで試料に含浸させたセル核を超高分子ポリエチレンライナー内部に形成することが可能となった。これを用いてU.H.M.W.P.E.発泡材料を作成し衝撃緩和特性について検討した結果、最大衝撃力と塑性変形量は反比例の関係にあり、衝撃緩和、塑性変形の観点から体積率80%が適正値であることを明らかとした。さらに、体積率80%の条件においては、目標とする1mm前後のスキン層を得ることができた。一方患者個々のサイズ・形状に合ったライナーの製作についてはCT画像情報を元にした患部形状データとCADデータの作成までは完了しているが、実際の製作には至っていない。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
精密工学会誌 72・2
ページ: 219-223
精密工学会誌 72・11
ページ: 1397-1401
Toxicology in Vitro 20
ページ: 1370-1377
Journal of the Japan Society for Precision Engineering Vol.72, No.2
Journal of the Japan Society for Precision Engineering Vol.72, No.11
Toxicology in Vitro Vol.20