研究概要 |
1.ツェッパ等速継手,トリポード等速継手および動力伝達軸で構成される自動車用等速継手系の回転角誤差,動力伝達軸の振れ回り運動と軸方向運動,トリポード等速継手の回転角誤差を解析するために,トリポード等速継手を垂直方向に移動させ,ツェッパ等速継手を水平面内で入出力軸の交点周りに旋回させることにより,等速継手の軸交差角を実車に装着されている状態で設定できる実験装置を設計,製作した.等速継手系の回転角誤差は入力軸と出力軸の回転角をロータリーエンコーダで測定し,それらの差として算出した.動力伝達軸の振れ回り運動および軸方向運動は動力伝達軸に垂直に固定された測定円板の軸直交2方向の微小変位と軸方向の微小変位をリニアゲージを用いて測定して算出した.動力伝達軸自身の回転角誤差,すなわちトリポード等速継手の回転角誤差は測定円板に巻き付けられたステンレスワイヤの移動長をレーザーエンコーダを用いて測定して算出した.複数のロータリーエンコーダ,レーザーエンコーダ,リニアゲージからの測定データを多チャンネルデータ処理装置を用いて総合的に整理し,必要な実験結果を供給する計測システムを構成した. 2.等速継手系の回転角誤差は1回転中に2π周期,2π/3周期,2π/6周期の正弦は状の成分をもつことが分かった.2π/3周期成分はトリポード等速継手の回転角誤差であり,2π周期成分は等速継手系のインアラインメントに起因していることを明らかにした.2π/6周期成分は六つのボールをもつツェッパ等速継手の構成部品のクリアランス,加工・組立等の誤差に起因していることを,一般化2円弧棒等速継手の影響係数解析とツェッパ等速継手の入力軸の軸直交2方向の微小変位の測定で明らかにした.また,ツェッパ等速継手は,動力伝達軸(入力軸)を固定して出力軸を旋回すると微小角自転する現象を見出し,その原因を解析的に明らかにした.
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