研究概要 |
本研究では,従来の6自由度空間パラレルメカニズムにおける,運動解析・機構総合における計算の複雑さ,オーバースペックな設計結果,出力姿勢角範囲の小ささ,といった問題点を解決するために,出力リンクの位置と姿勢が構造的に分離した6自由度空間パラレルメカニズムについて,その具体的構造と各構造の運動学的特徴を明らかにするとともにその機構総合法を明らかにして,その機構設計の指針を明らかにすることを目的としている. 本年度は,位置・姿勢分離形機構を構成する部分機構である位置機構および姿勢機構について,それぞれ一つの機構を具体的に取り上げて,その運動特性の解析・評価および機構総合法について検討を行った.まず,位置機構について,五つの回転対偶からなる連結連鎖が静止節と出力節の間に配置された機構を取り上げ,その変位解析および特異点解析を行った.機構定数を変えて作業領域の解析を行い,機構定数が作業領域の大きさおよび形状におよぼす影響を明らかにした.次に,姿勢機構については,五つの回転対偶からなる連結連鎖が静止節と出力節の間に配置された機構について,機構定数と特異点の条件の関係を詳細に検討して,この機構の機構定数を特異点に関係するものとそうではなく作業領域などにのみ関係する機構定数に分類し,特異点を考慮した機構総合を効率的に行う手法を開発した.そして,具体的な作業領域を与えた場合について機構総合を実施し,その手法の有用性を確認した.さらに,姿勢機構において機構定数の誤差が存在する場合について,出力節の回転中心の位置誤差および出力節の姿勢誤差の解析式を導出し,機構定数の誤差に対する出力変位誤差の大きさを評価することを可能とした.
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