研究概要 |
本研究では,超弾性形状記憶合金と強磁性材料からなる強磁性形状記憶合金複合材を開発し,実際に航空分野での応用が期待される高負荷能力,大変形能を有する磁気駆動アクチュエータへ適用することを目的としている.本年度は,強磁性材料と超弾性形状記憶合金から成る複合材板バネおよび複合材コイルバネの超弾性変形解析方法の検討を行った.さらに得られた結果から最適な材料選定方法,最適形状について検討を行った.本年度,得られた結果は以下の通りである. (1)超弾性を示す形状記憶合金の応力-ひずみ曲線を求めるため,一般的に使われている形状記憶合金の熱・力学構成方程式を,より実際の超弾性現象を解析できるように修正した. (2)修正した構成方程式を用いて複合板に均一な曲げ荷重を加えた時の曲げモーメントと曲率の関係を解析し,アクチュエータとして最適な複合板の寸法比および複合板を構成する両材料の材料選定指針を提案した. (3)実際にアクチュエータとして用いる際の磁力の分布を考慮して,分布荷重が作用する複合板の曲げ挙動を解析するための簡易手法について検討を行い,その手法を用いて任意の分布荷重に対する曲げ挙動を解析した.また,大変形有限要素解析により得られた負荷時の変形解析結果と簡易解析手法による結果を比較し,簡易解析手法の妥当性を確認した. (4)幾何学的条件をもとにコイルバネ素線内部のひずみ分布式を導き,大変形領域におけるコイルバネ形状の変化を明らかにした.また,ミーゼスの条件式を用いた変態開始条件より素線断面内の応力分布を求め,応力分布より複合材コイルバネの大変形領域での荷重と変位の関係を求める方法を提案した.
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