研究概要 |
1 実環境を摸した条件下での超高負荷二次元翼列試験の実験 前年度に引き続き,翼列試験を継続し,データベースの充実化と物理現象への理解の深化を進めた.特に,従来では設計されたことのない超高負荷状態(ソリディティの大幅削減)での計測を行い,実環境下での大剥離の発生と性能への影響などを詳細に調査した.その結果,従来設計と比較して,翼枚数を20%以上削減してもバースト(剥離が再付着しない現象)は発生せず,かつ,実環境効果によって,大幅損失増加を抑制することの可能性が見いだされた. 2 バイパス遷移モデルの検討 バイパス遷移モデルとしては,間欠度を輸送方程式などの形で表し,その解である間欠度から遷移を表現する方法を採用し,k-ε二方程式乱流モデルに基づく境界層解析コードに組み込んだ.間欠度輸送方程式は,最新の定評のある方程式及びモデル定数を見直し,予測値がより実験値に近くなるようにモデル定数等を選定した.今後,CFDコードの中に間欠度輸送方程式を組み込んで行く予定である. 3 パレート最適翼列の探索 遺伝的アルゴリズムによって流体特性に関する適合度を評価する際,1回の流れ解析に要する計算時間が多いため,最適解探索に要する総時間が膨大になってしまう.この難点を克服するため,計算負荷の少ない格子ボルツマン法を導入し,探索に要する計算時間の大幅削減を可能にし,結果として,探索範囲の拡大を可能にすることができた.ただし,格子ボルツマン法は低速流中の計算に限定され,また,翼面近傍における乱流挙動を扱うことができないため,探索された最適解の信頼性に関する検証が必要であった.そこで,パレート解として選択された解集団(翼形状)に対して高精度RANSニード(バイパス遷移モデルなし)による解析を行い.格子ボルツマン法による結果との比較を行った.その結果,定量的な差異はあるものの,大小関係,優劣関係には変わらないことを確認した.
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