研究概要 |
本研究では水の中で剛直な棒状会合体を形成する色素の高濃度水溶液である色素液晶を平面ガラス基板上に塗布し乾燥させることにより光学的・電気的異方性を発現する機能性薄膜を形成するという新技術に関する基礎的データの蓄積および解析を目的とする.本年度はガラス基盤上に色素液晶を薄膜となるように塗布するための基本装置の作成および測定システムの構築を行った. 塗布ステージは固定されたアプリケータと平行に移動するガラス基盤を固定した移動ステージから構成される.移動ステージはステッピングモータにより駆動される.短時間で所定の速度に到達するようPCを用いてモータを制御するためのプログラムも併せて開発した.アプリケータは微細加工を施し,ガラス基盤との間に2μmのすき間を保持して塗布できるようにした. 測定システムとして膜圧の変化を測定するためにレーザー変位計を導入し,塗布と同時に計測を行うシステムを構築した.塗布された液膜の乾燥過程における微視的変化を観察するために光学顕微鏡に塗布ステージをセットし,塗布直後の変化を動画として記録できるシステムを構築した.さらに,乾燥過程の光学異方性を測定できるように複屈折・二色性同時測定装置を取り付けられるよう改良した. これらを用いて均一な塗布膜が得られるよう,各種の調整を行った.さらに,色素液晶を試料として用いて乾燥過程の光学顕微鏡観察および光学異方性の変化の過程を測定した.これらの測定は現在の所,予備実験の段階である.塗布面はまだ均一な状態を再現よく達成することができず,乾燥時間に関しても周囲の影響が大きくばらつきが発生する.これらに関する対策を練っているところである.
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