研究概要 |
本研究では,ディジタルホログラフィを用いて単眼で3次元空間内の流速分布を計測できる高精度ダイナミック3D-PIVアルゴリズムの開発を行い,数値シミュレーションによる性能評価および構築した観測装置を用いた実証実験により開発手法の実用化を図った.混相流や回転機械内流れなど幅広い実験解析に適用できる粒子画像流速測定法(PIV)を簡便な3次元計測法に拡張するため,時間分解能高く記録された時系列ディジタルホログラムを空間分解能高く干渉縞解析することにより流速3次元3成分の時間変化を測定する手法を開発した.ホログラムパターンはカメラレンズを外した高速度カメラ(650Hz,1kx1k画素)を用いて記録し,数値的に再生した再生像空間において可視化トレーサ粒子の時間追跡を可能にした.粒子追跡法は2つの手法を提案した.1つは再生像空間の光強度時間変化から粒子移動量(流速)を直接時空間微分法で捉えるもので,測定位置の検出精度は改善されないが,その誤差が流速計測精度に影響を与えない方法である.数値シミュレーションおよび基礎性能実験により評価された粒子奥行き移動量測定誤差は10-30μmであったが,これは従来のディジタルホログラフィPTV法に較べ著しく改善されている.もう1つの手法は,従来法と同じく粒子3次元位置を時間追跡する手法であるが,新しく相対位相情報に基づき再生像空間を構成することで粒子位置検出精度の改善を図るものである.相対位相情報は通常の光強度情報よりも粒子像の奥行き方向の伸びが小さく,奥行き位置検出精度が10-20μmに改善されることが数値シミュレーションにより示された.
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