研究課題
クロスフローファンの羽根車吸込み側舌部にガイドベーンを設置し、入口流れを制御することによってファンの高圧力化、高性能化を図った。またその際の吸込み・吐出し翼列前後の流れをピトー管によって測定することによって性能向上の原因について検討した。さらに数値シミュレーションを用いることによってファンの吸込み状態や内部流動状態を解析した。これらの結果から以下のことが明らかとなった。(1)クロスフローファンの吸込み領域舌部側に1枚のガイドベーンを設置することによって、ガイドベーンを設置しない場合に比べ、高圧力で高効率なファンとなる。(2)ファンは、ガイドベーン角度γ=50°、長さL=300mm(L/D1=1.5)のとき、最も高性能を示した。ガイドベーン長さは短すぎても、長すぎても十分な性能上昇は得られない。(3)ガイドベーンによって羽根車回転方向と逆方向の予旋回が与えられ、高流量域においては、この入口流れの予旋回によって吸い込み翼列仕事が増大し圧力が増大する。また高流量域においてガイドベーンによって吸込み翼列への入射角が減少し、吸込み翼列の前縁剥離が押さえられることによって高効率が得られる。(4)ガイドベーン設置による全圧上昇のほとんどは、吸込み翼列における静圧上昇によるものであり、吐出し翼列仕事への効果は小さい。(5)ガイドベーンを設置することによって、低流量域においてスクロール巻き始め側に発生する循環渦が押さえられ、ガイドベーンがない場合に比べ低い動力で高効率が得られる。
すべて 2005
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JSME International Journal (Series B) Vol.48, No.42
ページ: 763-769