供試界面活性剤にエルエスピー協同組合製LSP-01を用いて、曲率半径比2を有する90°ベンド内流れの詳細な流速測定および2重円筒間流れのPIV計測を行った。流速測定はレイノルズ数20000、60000、活性剤濃度100ppmの下で行い、得られた知見は次のようにまとめられる。界面活性剤を添加するとベンドの上流から高速流体が内側に偏るが、その偏りはベンド入口から管直径の18倍上流の位置から既に認められる。偏った高速流体はベンド内で遠心力を受けて外側に偏り始めるが、その位置はレイノルズ数20000、60000でそれぞれ曲がり角30°、60°付近になる。それにともなって低速流体が曲がり内側に集中し始める。界面活性剤の運動量交換抑制作用により、低速域の成長は水の場合に比べて大きくなる。運動量交換が進み始めるのは低速、高速域の境目でのせん断速度がshear-thinning領域に入ってからである。乱れ強さは内側の低速域のみが大きい値を有しているが、外側ではほとんど乱れがない。このような偏った流れのままベンド出口に至るため、発達流への回復は遅くなる。以上の傾向は、より層流に近い状況にあるレイノルズ数20000の場合の方が顕著である。2重円筒間流れのPIV計測では、せん断速度がせん断誘起状態のそれよりも小さい場合は壁面垂直方向の乱れ強さの方が支配的であるのに対し、大きい場合では壁面平行方向の乱れ強さが卓越することが分かった。
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