研究概要 |
本年度は2年目にあたり,あらゆる条件について実験・計算を行った.そのもっとも重要なパラメータである,風洞圧力比を種々変化させてシュリーレン写真,壁面上における2次元的な圧力測定,さらに高速ビデオカメラによる非常場の流れの観察を行った.それと並行してシミュレーションによる検証も行い,あらゆる条件で本コンセプトで提案している流れ場になっていることを確認した. 特に本年度は実験と数値シミュレーションを組み合わせた定量的な検討を行うため,多孔壁を通る流量を明らかにした.その結果多孔壁に上に配置するジェットの並べ方が極めて重要で,複数本のジェットを流れに対し垂直に,すなわちスパン方向に並ぺることで,主流からキャビティ側に流れが発生することが分かった.これは実際に設計指針を決定する上で極めて重要な結果であり,高速流れの性能向上を目指す上で特筆すべき知見である.また,上記高速度ビデオカメラによる流れ場観察の結果,風洞圧力比が増加する過程で始動衝撃波が多孔壁に位置した場合の振動が極めて周期的に変動することを明らかにした.これは,機器の動作範囲以外において不必要な振動が発生する可能性を示唆しており,今後何らかの改善が必要となることも明らかとなった.ただしこの振動を正確に予測し,制御できれば,逆にこの振動現象と用いて,キャビティ内で混合のさらなる促進が期待できる.以上,本申請テーマとして2年目に当たる本年度は,本申請テーマを扱った論文が主要学会誌に掲載される等,極めて充実した成果が得られた年度であることを強調したい.
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