研究概要 |
(1)レーザトラップしたマイクロバブルならびにカバーガラス表面に付着させたマイクロバブルを観測した結果,収縮時にマイクロバブルの半径が,ある半径以下に達するとマイクロバブルが非常に安定化されることが示された. (2)カバーガラス表面に付着させたマイクロバブル周囲の圧力を変動させた時の,マイクロバブルの挙動を観測した.その結果,半径が20ミクロン程度の大きなマイクロバブルは,球状に収縮膨張するが,半径が5〜10ミクロン程度の小さなマイクロバブルは,その収縮時に界面に凹凸(変形)が生じ,減圧してもマイクロバブルの体積が回復しないことが示された.収縮時の変形は,マイクロバブルの表面に界面活性剤の多重層が形成されたことを示唆するものであり,多重層により気体の拡散が抑制されマイクロバブルが安定化していることが示された. (3)気体拡散や周囲液体の対流等を考慮したマイクロバブルの運動方程式に,界面活性剤の吸着・脱着モデルを取り入れ,動的表面張力を考慮した運動方程式を定式化した. (4)(3)の理論の特別な場合として,表面張力がマイクロバブル表面の界面活性剤濃度の対数に比例する仮定したマイクロバブルの力学モデルを構築した.本モデルによるレーザトラップされたマイクロバブルの収縮過程のシミュレーション結果は,実験結果と良く一致した.また,レーザトラップされたマイクロバブルの場合,レーザによる対流がマイクロバブル内の気体の拡散に影響していることが示された. (5)界面活性剤の多重層による拡散抵抗を考慮したマイクロバブルの力学モデルを構築した.圧力変動下におけるカバーガラス表面に付着したマイクロバブルの挙動を,本モデルを用いて解析した結果,マイクロバブルの変形が小さい場合は,本モデルは実験をシミュレートする上で有効であることが示された. (6)3次元境界要素法を用いた非球形気泡に関する解析手法を開発した.
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