研究課題
研究最終期間に相当する2007年度は、(1)三段圧縮機の失速突入過程の実験的調査、および、(2)後方よりの圧縮波印加実験装置の完成およびその装置を用いた失速突入試験を行った.(1)に関しては、動静翼列のスタッガ角が詳細に変更できる本実験装置の特性を生かし、通常のスパイク型初生のほかに、後続段翼列に対する負荷を増大させることで、多段機特有の失速初生形態を幾つか確認した.例えば、3段目の翼列負荷を局所的に増大させることで、初段は非失速状態でありながら、二三段目のみが軽い失速状態(マィルドストール状態)に突入する過程や、二段日のみに長周期の失速関連波動(現時点では、モーダル波)の発生が観察されている.系全体で深い失速状態に突入する際には、初段前方に設置した圧力計波形を参照することで、失速前10数回転で予兆現象を捕えることが可能であり、従来から提案しているハブストール方式を用いた失速能動制御の可能性が示唆された.今後は、多段機にハブストール制御装置を実装した能動試験によって検証を行う必要がある.(2)に関しては、二重同心軸を介して軸流圧縮機と貯気槽を繋ぐ試験装置の改良が終了し、実地試験を行った.圧縮機後方から軽い圧力波を印加することで、失速近傍の安定な運転状態から失速へと至る過渡現象を実現することに成功した.さらに、失速の突入過程に加え、失速とサージが共存する状態も実現し、圧縮機の非定常現象の解明に向けて更なる実験を行う準備が完了した.今後は、この装置を更に応用することで、圧縮波のみならず膨張波を発生させた翼列の過渡試験を行っていく予定である.
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Trans.ASME, Journal of Turbomachinery 129
ページ: 448-456
Journal of Thermal and Fluid Science 16-4
ページ: 301-308