研究概要 |
レーザドップラ式瞬間流量計の改良をすすめた.信号処理系は,従来どおりメインの取り込みボードと時間データ取り込み用ボードから構成されているが,平成18年度においてはドップラ信号から流速に変換する信号処理系のプログラムを大幅に改良し,データの信頼性を増すことができた.ただし,主要プログラムはFFTに頼っているために,FFTに依存するデータ信頼度の低下が指摘された.そこで,最近発表された新しい信号処理方法であるスロット相関法についても見当をはじめた.スロット相関法ではFFTよりも信号ノイズに対する安定度が高いことを示し,さらにデータ取得率が低い場合に特に両者の差が大きくなり,本レーザドップラ式瞬間流量計に有効なデータ処理方法になることが分かった. 噴霧計測は平成17年度に引き続き,筒内直接噴射方式ガソリン機関用高圧燃料噴射弁を3種類用意して行った.噴霧条件は一定とし,周囲空気の温度と圧力を変更することで,粒径と流速に与える影響を評価した.平成17年度よりも1サイクルあたりに噴射する燃料量を増加させたところ,周囲空気温度の影響はほとんど確認できなくなることが明らかになった.噴霧を時間的に分割することで,噴霧のそれぞれの部分に対する周囲空気の温度と圧力の影響が評価できることを示した.粒径分布関数を利用すると,温度の影響が評価できる可能性があることが分かった.今後,さらに精度を高めることで,温度と圧力が噴霧性状に与える影響を明らかにできると考えている.
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