研究概要 |
本研究は,「省エネルギー、コンパクト型空調用冷熱貯蔵、輸送システム」の技術的成立性と省エネルギー効果を検討する上で最も重要な技術データの一つである「パラフィン蓄冷材微粒子群の冷水による混相流輸送特性と輸送限界」を明らかにすることであり,蓄冷剤であるパラフィン粒子群を冷水により混層流輸送する際の流動様式,管摩擦係数,流路閉塞条件等を実験的に調べることを目的としている。本年度は,主として,平均粒径が約1mmのノナデカン粒子と水の混相流を円管内に流して,混相流の流動様式,管摩擦係数と混相流の平均流速,及び,粒子濃度との関係を調べた。実験は,水平流,垂直上昇流,垂直下降流について行った。 1.流動実験の実施:平均粒径が1mmのノナデカン粒子を水流中に混入し,平均流速を0.2〜3.0m/s,レイノルズ数を5000〜70000,フルード数を2〜200,粒子の体積濃度を0〜25%の範囲に変化させて実験を行った。 2.混相流の流動様式と平均流速との関係:混相流の流動様式は水平流,垂直上昇流,垂直下降流などの流れの向きや,混相流の平均流速によって大きく異なる。水平流では,流速の増加とともに,「堆積層を伴う流れ」「しゅう動層を伴う流れ」「浮遊流」の順に変化する。垂直上昇流と垂直下降流では,平均流速が小さいときには非均質浮遊流であり,流束の増加とともに均質浮遊流に移行することが分かった。また,本年度に行った実験条件下では流路閉塞は認められなかった。 3.圧力損失と流速及び粒子濃度との関係水平流,垂直上昇流における圧力損失は流速が小さい範囲では,管摩擦係数とレイノルズ数との関係で整理できるが,流速が大きい範囲では,付加圧力損失係数とフルード数との関係で整理できることが分かった。また,垂直各流における圧力損失は,本実験範囲においては,付加圧力損失係数とフルード数との関係で整理できることが分かった。
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