研究概要 |
樹脂溶着のレーザー光源としては、CO2レーザー(波長:10.6μm)およびシュミレーション実験として現有する半導体レーザー(波長:0.98μm)を用いて下記のような突き合せ部溶着の基礎的実験研究を行った。 1.本研究の特色であるレーザービーム照射側の樹脂表面にレーザー光を透過する固体をヒートシンクとして設置することにより樹脂表面の熱損傷を防ぐことが可能であることの確認を行った。 (1)CO2レーザー溶着では、ヒートシンク材としてZnSe,ZnS,Ge,Siが有効である。 (2)半導体レーザー溶着では、赤外線用ガラス、石英、サファイヤが有効である。 2.CO2レーザー溶着では、半導体レーザーでは溶着不可であったオレフィン系樹脂(PE,PPなど)またフッソ系樹脂(PFA)の溶着が可能であることを確認した。 3.半導体レーザー溶着においては、従来、透明樹脂と不透明樹脂の重ね合わせ溶着しか行われてこなかったが、適したヒートシンクを使用することにより、不可能とされてきた不透明(有色)樹脂同士の突合せ溶着が可能であることが実験的に明らかにした。 4.CO2レーザーにおいては、樹脂材料の種類により、溶着深さがどのように異なるかを実験的に調べるために、厚さ0.1mmの材料を重ね合わせて溶着し、溶着された枚数を調べた。その結果、ポリオレフィン系では約1mm、フッソ系樹脂では0.5mmの溶着深さがあることが確認された。これらの結果は、突合せ溶着の基礎データとして有用である。
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