研究概要 |
本研究は,電気二重層のもつ2つの作用である電気泳動・電気浸透と関連する界面動電現象の誘因作用と粒子間に働く電気二重層の重なりにより生じる電気二重層斥力の作用に対し,対応する伝熱現象を電気二重層と関連づけて取り扱うもので,以下の成果を得た。 (1)種々の粒子からなる飽和粒子層に平面電極からなる直流電場を付与し,飽和粒子に対する電気浸透速度を粒子の表面電位と関係づけて明らかにした。 (2)ポアソンーボルツマン方程式から得られる電気二重層を考慮した電気浸透流とダルシー流を組み合わせた飽和粒子層内の電気浸透流に対する基礎的な取り扱いを確立した。 (3)種々の粒子および水溶液において,飽和および不飽和状態における電気伝導度を水分含水率と関係づけて実験的に明らかにするとともに,不飽和状態に適用できる電気伝導度の構成方程式を作成した。 (4)種々の粒子からなる不飽和粒子層に平面電極からなる直流電場を付与し,電気浸透速度を含水飽和度および粒子の表面電位と関係づけて明らかにした。 (5)コロイド液体中の粒子に平面電極からなる交流電場を付与し,誘電泳動の立場から,粒子の凝集現象に及ぼす周波数及び印加電圧の影響を実験的に明らかにした。 (6)表面電位が異なるガラス粒子とアルミナ粒子の混合粒子層に対し,交流電場付与による特徴的な凝集形態を実験的に明らかにした。 (7)ガラス,ベントナイト,アルミナ粒子-水系の凝固実験を行い,粒子の掃き出し・捕捉現象を凝固速度および粒子径と関係づけるとともに,粒子の表面電位と限界凝固速度の関係を実験的に明らかにした。 (8)凝固層と粒子間に働く電気二重層斥力に対し,DLVO理論を基礎とした取り扱いを示した。
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