1.各種イオンについて調査・検討し、安定性で優れている陽イオン界面活性剤:塩化セチルトリメチルアンモニウムに対イオンとしてサルチル酸ナトリウムを同量添加した溶液を選択した。 2.最高温度60℃まで制御可能な流動抵抗低減効果評価装置を製作し、上述の溶液について抵抗低減現象の発現・消滅の流体の温度域を確定した。消滅域:47〜53℃、発現域:9〜24℃ この間、温度に対しヒステリシスによるバラツキが現れる。 3.試験ループの壁面温度をステップ変化させて、上述の抵抗低減現象の発現・消滅の臨界温度の前後における壁面静圧分布を測定し、加熱開始後の圧力分布の勾配に変化が見られ、抵抗低減・増加が確認された。しかし、加熱壁域を過ぎると元の値に復帰する傾向を示す。 4.主流温度48℃、壁温54℃で加熱壁域の局所温度分布を測定し、加熱開始点後80〜160mmの領域の壁極近傍で垂直方向に温度一定のこの現象特有な温度分布の出現が確認された。この温度分布は発現域でも確認された。また、この温度分布の発生位置は上述の圧力勾配の変化が起きる点に対応している。 5.上記温度境界層内の温度変動は他の領域に比して極めて強く、壁面近傍での熱輸送機構が層流的状況から乱流的への移行を示唆している。 6.現在、上述の結果を総括し、温度制御による抵抗低減現象の発現・消滅域における局所熱伝達率を測定し、ポンプ動力基準の熱的性能評価を行っている。
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