前年度の研究を総括し、発現・消滅のメカニズムを検討した。 界面活性剤添加溶液の濃度を50〜1000ppmと広範囲に変化させ、局所加熱・冷却を行い、温度分布内における臨界温度位置が抵抗低減減少に与える影響を明確にした。壁面極近傍に温度が一定の本現象特有の温度分布が確認された。これは、加熱・冷却に依存せず、抵抗低減現象の発現・消滅と密接に関係する。ただ、高濃度では粘性係数が増加するので、乱流から再層流化への逆転が予想されるので、更なる検討が必要である。 以上の結果を総括し、抵抗低減現象の温度依存性を明確にし、その現象の発現・消滅の制御の可能性について検討した。 上述の結果が、実機上どのような効果があるか確認するために、市販の気液の空調用熱交換器による性能試験を行った。特に、熱交換器の選定に当たって管内側に伝熱促進用の溝等の加工がしてあるものを使用する。圧力損失は熱交換器へ流入・流出のヘッダー部分で評価したが、温度制御による抵抗低減現象の有無が明確になる圧力損失はヘッダーでの圧力損失が大きいため、熱的性能評価にどのように影響するか顕著ではなかった。気体側の伝熱量は、流速にのみ依存するが、液体側は界面活性剤添加水溶液側の伝熱量は、界面活性剤添加濃度、液温度、流速に依存する。この場合の熱交換器の性能制御が、これらのパラメータによってどの程度可能か検討し、コンピュータによる数値シミュレーションを行い得る制御プログラムを開発中である。
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