研究概要 |
衝突噴流による高温面の急速冷却に関する前年度の実験データの解析と整理および論文の作成を主に行った.実験範囲は,噴流速度3-15m/s,噴流液温20-95℃,噴流径2,3mm,高温面温度250-600℃,高温面材質,銅,黄銅,炭素鋼の3種類で,試験流体として水を用いている.高温面の表面は,5μmの金メッキを施されている. これらの成果をまとめて日本機械学会論文集やInt.J.Heat and Mass Transferに公表されている. その内容の概要は,高温加熱面を衝突噴流で冷却するとき,冷却開始すなわち高温面の濡れ開始の状況は,高温面の温度が熱力学的過熱限界温度以上にある場合でかつ冷却能力が大きい場合とそれ以外では大きく異なることを高速ビデオカメラでの観察から明らかにした.安定な濡れが確保され,東にその濡れ面は急速に拡大を始めるまでの時間(滞在時間と呼ぶ)について,検討し,多くの実験データを基にその予測式を提案するに至っている. 高温面に噴流が衝突した直後の数μsでは,急激な蒸気の発生後,その蒸気によって高温面は濡らされない状態となっている.そして,この数μsでの固液の接触中に伝えられる熱流束と温度の伝搬深さは数ナノmのオーダーとなっている.この数ナノmの液層が急激に加熱され,自発核生成の状態となっている可能性が高いことを見出した.自発核生成を決定する物理量が,単に温度だけであるのか必要なエネルギー(熱)量であるのかについては,今後更に検討する必要があることを指摘している.
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