研究概要 |
球状火炎(内向き,外向きおよび停在火炎)においては、火炎の伝播方向と火炎半径rにより伸張率が異なり、正負の値をとるので,火炎半径rまたは伸張率の値に応じて、火炎構造や燃焼速度がどのように変わるかを水素の予混合火炎において調べた.(1)内向き球状火炎の場合,火炎半径rが異なる時の燃焼速度は当量比が0.7より大きい場合はrの増加により大きくなり,当量比が0.7より小さい場合はrの増加により小さくなる.外向き球状火炎の場合はその傾向は逆になる.停在火炎では傾向は内向き火炎に近い.(2) stretch rateは何れも2(V_f/r_q)(V_fは火炎伝播速度,r_qは火炎面半径)であるので,stretch rateは内向き火炎では負,外向き火炎では正,停在火炎では0となる.内向きおよび外向きの火炎では,stretch rateが-5000〜+5000(1/s)の範囲で当量比が0.7またはそれ以上の値ではstretch rateが大きくなると単調に燃焼速度が小さくなる.しかし,当量比が0.6より小さい場合は,stretch rateが大きくなれば燃焼速度も大きくなる.しかし,停在火炎ではstretch rateが0にもかかわらず燃焼速度は唯一の値ではなくある範囲の値を持つ.(3)燃焼速度はstretch rateだけでなくLewis数によっても影響を受ける.なぜなら,異なる拡散係数を仮定すれば(1),(2)と逆の結果が得られるからである. レーザ誘起蛍光およびレーリ散乱によって拡散火炎を可視化し,その機構と消炎現象を明らかにした.
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