研究課題
水素吸蔵物質としての可能性を有する単層カーボンナノチューブ(CNT)の合成のために、化学的気相成長法(CVD)を用いることは有効な手法の一つと考えられる。本研究は、高水素吸蔵性CNTの大量合成を目的に、合成反応場に、高い熱的、化学的に非平衡性を有する高周波交流(RF)放電プラズマを用い、ヘリウム混合及びパルス変調を施す方法を導入するものである。3年目の研究では、実験装置において、整合器の改良により高電力投入を可能とし、小型CCD分光器を設置することによってプラズマ発光の分光分析を可能とした。原料ガスにはメタンと水素の混合ガス(体積割合1:4)を用い、容量結合型RF放電の特性に及ぼすヘリウムの混合割合と全圧との相互関係や、パルス変調の効果を調査することによって、CNT合成に向けた有効性について検討を行った。ヘリウム体積混合率50%、通常のCVD条件と比較して非常に高い全圧13.3kPaの場合、放電開始電圧は高く、直ちにアークスポットと考えられる放電が発生して、電圧の増加なく電流が増加する傾向が現れた。しかし、これを基準に、ヘリウム体積混合率70%、または全圧を6.7kPaと減じた場合、放電開始電圧は大きく下がり、広い印加電圧範囲で安定した構造のグロー放電が得られた。また、発光分光分析でも、CNTに必要とされる化学種の発光が観察された。さらに、この2つの条件にパルス変調を施した場合、その特性にパルス周波数やデューティー比の影響は受けにくく、反応に寄与する中性ラジカルのみの制御が可能であることが示唆された。また、本研究における放電プラズマ発生技術は、光触媒充填層方式を用いた大気圧放電によるオゾン生成にも用いられ、高効率・高濃度オゾン生成を可能にするとともに、電荷移動技術へ応用し、低濃度水素燃料を、有効に固体高分子形燃料電池へ用いることを可能にした。
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