| 研究概要 |
石炭の高効率・クリーン利用技術の進展の中で,石炭ガス化複合発電や加圧流動層発電などの,加圧下での燃焼・ガス化の重要性が増大している.加圧下では,急速加熱された石炭の揮発分放出挙動や気相化学反応が常圧下とは大きく異なるにもかかわらず,加圧の影響に関する研究例は少ない.また、炭素含有率(wt%, daf)がほぼ同値であっても炭種によって放出揮発分量、放出タール量は大きくばらつき、熱分解生成物に及ぼす炭種の影響が詳細に整理できていない状況である。そこで本研究では、石炭の熱分解生成物に及ぼす諸因子(加圧,炭種等)の影響を系統的に整理した。さらに、石炭,バイオマス等のハイブリッドガス化構想にも対応できるように,大気圧下のみではなく加圧下における草本系バイオマスの熱分解・ガス化挙動についても明らかにした.以下に得られた知見を示す。
(1)H/C, O/Cにより、石炭の熱分解生成物(タール収率、各ガス収率)を精度良く予測することができる。
(2)石炭の揮発分収率およびタール収率は、H/Cの増加に伴いほぼ直線的に増加する。炭化水素系ガスの収率(CH_4,C_2H_4収率)についてもH/Cの増加に伴い増加する。CO_2、CO収率は、O/Cの増加に伴いほぼ直線的に増加する。
(3)石炭の元素分析値(原子比)のみから、多炭種の生成物収率を予測できることを示した。
(4)草本系バイオマスのタール収率および全揮発分収率も原子比H/Cにより、ほぼ整理できる。タール収率は、H/Cの増加に伴いほぼ直線的に増加し、全ガス収率はH/Cの増加とともに減少する傾向にある。
(5)草本系バイオマスのガス化速度は圧力の増加に伴い増加する。
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