圧縮空気の噴出による3次元小型浮揚ロボット(UAV)を設計・試作した。3つのノズルへの空気流量を適切に調節することによる高度、ロール、ピッチ姿勢の制御系を設計し、シミュレーションや実験により基本的動作を確認した。UAVを安定化しつつモデルのパラメータ同定を行うために、姿勢制御系を部分モデルマッチング法によるI-PD制御として設計した。これをDSPにより実行するために、一般的に用いられているタスティン法により1kHzのサンプル周期でディジタル制御系に変換し、ロールとピッチの同時制御により比較的良好な姿勢制御の実験結果を得た。なお、2次元飛行の場合には当研究室が開発したPIMディジタル再設計法によりサンプル周期を10Hzまで落として実験したが、50Hzでも十分よい結果を収めることを確認した。 上の実験と平行して、新しい非線形離散時間モデル化についての理論的研究も行った。特に、我々が提唱するスカラーリカッチ微分方程式を厳密に離散時間化する方法の拡張を幾つか行った。ひとつはオブザーバ設計への応用、もう一つは特殊ではあるが連立2次のリカッチ微分方程式で表されるシステムの場合である。更に、この離散時間化法と埋め込みの操作を併せることで、更に厳密離散時間化可能なシステムを拡張できることが分かった。可積分でないシステムなど、現在のところ厳密離散時間化の方法が知られていないあるいは原理的に不可能と思われる場合への対策として、デルタ形式の離散時間積分ゲインに注目した新しい非線形離散時間モデリングの方法を開発し、シミュレーションによりその有効性を確認した。
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