前年度に成功した圧縮空気の噴出による2次元小型浮揚ロボット(UAV)のロール姿勢の制御系は、部分モデルマッチング法によるI-PD制御をPIMディジタル再設計法によりサンプル周波数50Hzにおいて十分な性能を発揮できたが、今年度は安定性を確保しながら積分動作を導入するIA-PIM方法を新たに開発し、昨年度と同等以上の性能を10Hzで実現することに成功した。理論的にはいかなるサンプル周期に対しても安定性を確保するが、実験では少なくとも周波数0.3Hzでも安定化でき、これはナイキスト周波数(1.4Hz)の5分の1程度である。 昨年度はスカラーリカッチ微分方程式の厳密離散時間化については、そのパラメータの3分類のうちの一つの場合を解決したが、今年度は他の2分類についても成功した。また、2次の非線形微分方程式のあるクラスの厳密線形対角化条件について調べ、この変数変換を利用することで厳密離散時間化に成功した。 可積分でないシステムなど、現在のところ厳密離散時間化の方法が知られていないあるいは原理的に不可能と思われる場合への対策として、デルタ形式の離散時間積分ゲインに注目した新しい非線形離散時間モデリングの方法を開発し、ベルヌーイ系や2次の非線形系に対して有効であることをシミュレーションにより確認した。この方法はまた、連続時間と離散時間両方のシステムパラーメータを決定するハイブリッドモデリング方法としても利用できることを示した。
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