研究概要 |
最初に,高推力なリニアバルブアクチュエータを設計するための資料として,実際に新しく構造を考案して製作したアクチュエータの磁場解析と,実測結果の比較・検証を行った,比較・検証のモデルとして,矩形形状の突歯磁極の数を2〜6個にした円筒状のリニアバルブアクチュエータを考案した。このモデルを有限要素法により磁場解析した結果,磁束は複数の磁極にそれぞれ分散して流れることが分かった.また,対向するアーマチャとステータのそれぞれの突歯の角部に磁束が集中し,複数有る各突歯が磁極になることが確認できた.そして,これら複数の磁極が同時に吸引力を発生して,それらの吸引力が合わされることにより,上記構造のリニアバルブアクチュエータは,高推力が得られそうであることが予測できた.この磁場解析の結果を踏まえて,高推力が得られそうな4個の磁極を持っリニアバルブアクチュエータを実際に試作した.試作したアクチュエータの推力を実測したところ,解析値と実測値はよく一致した.また,試作したアクチュエータは,定格電流で3倍近い推力が発生できそうであることが明らかになった. 最初に試作したリニアバルブアクチュエータは,比例アクチュエータとして使用できる,推力が一定になる動作範囲が約1mmと短かった.そこで,次に,新たな構造のアクチュエータを考案し,アクチュエータの動作範囲を大きくすることを試みた.また,突歯磁極の断面形状を変えて,歯と歯の間隔を小さくして,アクチュエータの小形化も試みた.そのために,実際に設計基礎資料を得るためのアクチュエータを製作し,実験を行った.その結果,新たな構造の突歯形状のアクチュエータは,推力が一定になる動作範囲が約2倍近くに増加した.また,弁本体取付け面積が同じ比例ソレノイドと比較して,長さ寸法がより小形で,大きい推力を発生できることを実証した.
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