従来の視覚情報による環境認識では、環境中に分布する対象物の同定が困難であった。これを解決するため、RFID技術により、対象物にIDタグを貼付することにより対象物同定する方法を与えた。タグリーダの検出範囲のどこにIDタグが存在するかを知るために、RFID単独による方法とRFIDと視覚情報の組合せによる方法を提案した。 本研究では、環境中の必要な物体にIDタグを貼付することにより、自律作業システムにとって不可欠な環境認識機能を実現することを試みた。具体的な作業として非整備環境での移動とピックァップ作業を取り上げ、提案する環境認識手怯に基づく自律作業システム構築法を示した。 平成18年度はRFIDを用いたピックアップ作業に関する次の研究を行った。 1.ピックアップ作業のためのRFIDを用いた環境認識の研究 ピックアップ作業は移動に比べると繊細な動作であり、要求される位置精度も高いものとなる。これを実現するために、RFID情報を、Bayesの理論に基づき統計処理し、対象物の存在する領域を精度良く推定する方法を与え、実験でその有効性を確認した。 2.ピックアップ作業の研究 対象物にピックアップ作業を適用するには、RFID情報のみでは十分な精度が得られない。そこで、RFIDで粗く位置検出された対象物を、ステレオカメラで認識し、精度の良い位置推定を行う方法を開発した。IDタグには、それが貼付されている対象物の識別番号だけでなく、その対象物のプロパティ、すなわち、形、色、寸法などの情報を書き込んでおく。これにより、画像認識するための有用な情報を得て、効果的に処理を進めることが出来ることを示した。RFIDにより対象物のラフな位置そしてプロパティを得て、視覚システムで詳細に認識するという提案方法が有効であることを実験で示した。
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