研究概要 |
柔軟シートを用いて柔らかい物体の仮想的な視覚・触覚を提示するシステムの研究開発を行った. 1.ゴムなどの柔軟なシートは,きつく張ると硬くなり,緩めれば柔らかくなる.よって,シートに加えるバイアス張力を変化させることで,シートに直接触ったときに異なる柔らかさを感じることができる.そこで,2台のロボットの先端に1枚の半透明柔軟シートを結合した触覚ディスプレイを構築した.ロボットでシートにバイアス張力を加え,シートの柔らかさを可変にする制御を実装した.カー変位曲線を測定した結果,バイアス張力を変えることでシートに異なる柔らかさを生成できることを示した.また,ユーザの指先位置をステレオカメラで計測し,指先接触点でシートが仮想物体の接平面になるようにマニピュレータを動かす制御法を実装した.仮想の円筒面を指先で撫でる能動触の実験を行い,シートの移動精度を測定して有効性を示した. 2.視覚提示は,変形した仮想柔軟物体の立体CG画像をシートに直接背面投影することで実現した.ユーザの指先位置から仮想物体の押し込み量を求め,有限要素法により物体の変形形状を計算し,その立体CG画像を半透明シートに背面投影する.ユーザは立体視用メガネを装着し,シートに重なった立体の画像を見る.ところで,上記の触覚ディスプレイと組み合わせる場合,シートの移動や押し込みによるシートの変形のために,単にシートに画像を投影しているだけでは物体がゆがんで見えてしまう.そこで,この画像のゆがみを補正する方法を開発し,ユーザの視点から見た画像の精度評価および被験者実験により,補正法の有効性を示した. 3.上記の視覚と触覚の融合により,ユーザは仮想柔軟物体の立体CG画像を見ながらそれに触ることができる.さらに,仮想物体を押し込むことで柔らかさ感じたり,能動触によりその形状を知覚することが可能となる.
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