研究概要 |
本研究では,高感度と高剛性を両立できる新しいセンシング原理,すなわち歪拡大メカニズム原理を考案し,高剛性的かつ高感度的に力をセンシングする方法の確立を目的とする.この新原理は,力とロボットの間は剛性の高い弾性体と剛性の低いセンサ弾性体を並列的に繋ぎ,大部分の力を高剛性の弾性体に通らせそこの微小な歪変形を低剛性のセンサ弾性体によって拡大されて力をセンシングする. 6軸力覚センサの弾性要素の設計は自由度が多く,最適な構造を特定するのは容易ではない.加工精度,歪ゲージの貼り付け位置など形状の制約もある.従来,力覚センサの設計には有限要素法などを利用していたが,開発者の経験や勘による部分が大きく,理論的な裏付けは十分ではなかった.そのため理論的なセンサ間の比較評価も十分にされていない. 本研究では,まず,高剛性を有しながら感度を拡大できる歪拡大メカニズムの原理を理論的に解明し,理論的解析結果に基づいて,独自の歪拡大メカニズムを利用した弾性はりを従来のセンサ構造体に組み込み,感度と剛性をバランスよく成立させた6軸力覚センサの構造を考案する.次に,設計の時に要求によって各方向の感度を調整できる,かつ,良い静特性と動特性を持たせるセンサの構造設計に関する理論的検討を行い,弾性要素の構造評価に必要な諸式を解析結果から導出し,歪剛性行列式を求める.そして,力覚センサの試作の際設計指針となる力覚感度,歪ゲージ感度の評価方法を基に,より良い設計値を理論的に決定する方法を確立する.その上,力覚センサ剛性行列を理論的に与え,それを基に力覚センサの設計を行い,従来の力覚センサにはない感度の一様性を持たせる3つの並進力と3つの回転力をそれぞれセンシングできる高剛性・高感度な6軸力覚センサを開発した.最後に,試作した6軸力覚センサの特性を検証する実験を行った, 以上,提案センサの新規性と有用性について確認してまとめた上,早い段階で特許出願する予定としている.
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