研究概要 |
本研究では人間とロボットが機械的ダイナミクスを共有しながら互いに影響し合い,結果としてある動作が発生するシステム(共創動作システム)の一形態として握手動作をとりあげ,本年度は人間とロボットとの握手動作実験の結果を人間-機械制御系の観点から解析し,以下の知見を得た. 1.ロボット側の伝達特性を様々に変化させながら実際に被験者とロボットが握手動作を行い,被験者の振り周波数について解析を行った.その結果,ロボット側の動特牲に応じて握手動作しやすい周波数が存在し,その周波数は人間とロボットからなる閉ループ系の共振周波数と関連性が高いことを明らかにした. 2.ロボットに周期的な力を発生させ人間との握手動作をする実験結果から,ロボットの発生力周波数と閉ループ系の共振周波数との大小関係が握手動作のしやすさに大きく影響し,特に共振周波数よりも高い周波数での握手動作は困難であることがわかった. 3.ロボットの発生力と人間の手先力との問の位相差に注目した解析を行った結果,握手動作しやすいと感じている状態ではある一定の位相差が存在していることがわかった.さらに,人間の手先力を随意的な成分と人腕インピーダンスからなる受動的な成分に分けて解析する手法を考案し,ロボットの発生力と人間の随意力との位相差がゼロになる時に握手動作しやすいと感じていることを明らかにした. 4.これまでに明らかにした性質を利用して,ロボットが自身のインピーダンス調整を行うと同時に適切な周期力を発生することで人間を自然な握手動作へ誘導できることを確認した. 現在,ロボットと人間とのより共創的な動作の実現のために,人間同士の握手動作における共創的な振る舞いを測定・解析する実験を準備している.
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