研究概要 |
消化管の手術後に行う導通試験の時間短縮のため、慣性反力走行による滑らかな外表面をもつ走行カプセルを提案し、基礎実験と理論解析を行った。今年度は無線化のための方法と駆動回路を検討し、原理確認の実験を行った。 走行カプセルの構造と走行原理 直径7mm,長さ12mmのカプセル本体に固定したコイルに交流電流を流し、コイル内の永久磁石(質量)が移動する際の慣性反力、壁面への衝突の衝撃力、走行面とカプセル間の摩擦力との組み合わせで走行させた。 走行速度向上方法の検討 走行カプセルの速度向上のため、実験による走行原理の解析と、理論解析に基づく入力波形の改良を行った。駆動用コイルと永久磁石による相互作用は、永久磁石がコイル内に収まっている時よりも、数mm飛び出している時の方が、大きな力が働く。コイルはカプセル内に、永久磁石の移動スペース確保のため中心よりずらして設置しているが、この非対称性と前述の磁力特性が合成されてカプセルが一方向に走行することを解明した。この電磁力最大の位置をカプセル設計に反映させ、最も効率よくカプセルを駆動し、より速い移動速度とする見通しを得た。また、理論解析の結果、永久磁石を順方向に移動させる際に絶対値の大きな電圧を加え、逆方向に移動させる際には絶対値の小さな電圧を加えれば、カプセル本体は常に同じ方向に移動し、単純な対称波形の時より大きな速度が得られることがわかり、従来に比べ2倍以上の走行速度の向上が得られた。 無線化のための基本検討 無線化のために、微小な電池をカプセル内に搭載し、カプセルを自走させる方法を検討した。電池でカプセルを駆動させるためには、電池の直流電流を交流に変換する回路が必要である。そこでカプセル用に改良した小型の無安定マルチバイブレータ回路を作成し、外部からではあるがカプセルに電流を供給することで、カプセルを駆動できることを確認した。 まとめ 消化管内走行用カプセルの駆動機構を提案し、理論解析と駆動実験を行った。カプセル走行原理を実験と解析により確認し、理論解析結果を利用して入力波形を改良して、より速い走行速度を得ることができた。無線化のための手法と回路構成を検討した。
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