研究概要 |
今年度の主な結果を以下に示す. 1.内界センサ/アクチュエータの故障診断システムの開発 車載レーザレンジセンサ情報をもとに内界センサ系のスケール故障を診断する方法に関して,昨年度は車体の絶対速度を推定法としてFeature-to-featureスキャンマッチング法を適用したが,一般的な屋内環境においても診断を可能とするため,ICP(Iterative Closet Point)を用いたPoint-to-pointスキャンマッチング法を適用する方法を示した.さらに,内界センサの故障診断に加え,車輪モータのハード故障に対応可能な手法を示した.これは,システムのハード故障が検出された場合,車載ジャイロ情報と車輪センサ情報とを比較して車輪センサと車輪モータの故障を判別するものである.これらのアルゴリズムを電動車椅子に実装し,屋内環境での走行実験により故障診断法の基本特性を調べた. 2.ユーザの操作意図認識システムの開発 簡易型脳波計測装置からのEOG(眼電位),EMG(筋電位)によりユーザの意図を知る手法の精度向上を図った.具体的には,閾値によってEMGからユーザが奥歯をかみ締めるジェスチャ,EOGからユーザが寄り目または眉間にしわを寄せるジェスチャを認識するアルゴリズム,積分フィルタを基礎とした信号処理によりEOGからユーザの左右の視線方向を個別に認識するアルゴリズムを提案した.これらの認識・制御アルゴリズムを仮想空間内の移動アプリケーションを制御対象に,動作実験を行い,ジェスチャ認識により精度良いハンズフリーマニピュレーションが可能であることを示した. 3.実験プラットフォームの開発 昨年度構築したホロノミック全方向移動電動車椅子は不具合が多いことから,市販の非ホロノミック電動車椅子を改良して,評価用実験プラットフォームを新たに構築した,そして,コンピュータにより各種センサ情報の取得や走行制御を可能とした.
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