研究概要 |
本年度は, 1.被操作対象となる極微量試料の顕微鏡下への定量的な取り出し方法として,ガラスキャピラリの利用法を検討した.その結果,水溶性の溶液中に混在する微粒子については,ガラスキャピラリのシラン化剤による表面処理,ポンプによるキャピラリへの印可・射出圧力の制御,適切な微粒子濃度の設定などで,取り出し個数の調整が可能であることがわかった.この知見を利用して,水溶性の溶液中に分散させたナノ微粒子をガラスキャピラリに充填し,射出圧力等を制御してガラス基板に射出することで,微粒子を基板上に一列に配列させることに成功した. 2.非球状のマイクロ試料として,当研究所で開発された棒状の形態をしたアルミニウムボレートウイスカと,ガラス質の殻を有する珪藻を対象に3次元的な姿勢制御の可能性を検討した.(1)棒状のマイクロ物質を単一の光ピンセット法で捕捉する場合,捕捉姿勢は光軸方向となり,さらに光軸周りに回転することも多い.この問題を克服するために,2本のレーザ光をウイスカの先端近傍に同時に照射し,局所的な2箇所の光ピンセット型のレーザマニピュレーションにより,ウイスカの姿勢変更が可能であることを示した.(2)珪藻に対しては,走査型マニピュレーションによる姿勢制御の可能性を検討した.照射するレーザ光の走査軌跡のXY平面での回転,長さの変更等により,珪藻の安定した捕捉姿勢が変わり,珪藻の立面,側面,正面の3方向からの観察ができた.Z方向のレーザ光の焦点位置の変更なしに,3次元的な姿勢制御ができる可能性があり,来年度に向けより詳細な検討の必要があることがわかった.
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