研究概要 |
平成18年度は,昨年度に引き続き,各種レーザマニピュレーション法の非球状やひも状マイクロ物質の3次元姿勢操作への適用可能性を検討し,以下の結果を得た. 1.非球状物質の3次元姿勢操作として,ガラス質の殻を有する大きさが数ミクロンから十数ミクロンの珪藻を対象に,(1)3ビーム光ピンセット法による光軸方向の傾き角制御,(2)走査型マニピュレーション法による3次元の回転と並進運動の制御,(3)走査型の走査方向と長さのリアルタイムでの変更によって生じる「てこの効果」を利用した動的3次元姿勢制御の3つの操作法を提案した.これら操作法をレーザ光焦点位置をガルバノミラーで直接リアルタイム制御する方式により実現した.これら方法により,珪藻の立面,側面,正面の3方向からの観察や3次元的姿勢制御が可能となるなど,提案した3次元操作法の有効性を実証した. 2.時分割光ピンセット法の3次元操作への有効性を検証するため,レーザ光の光軸方向の焦点位置をパソコンでリアルタイム制御できる機構と光学系を設計し,ガルバノミラーで直接XY軸制御する光学系と組み合わせることで,3次元空間においてレーザ光焦点位置をリアルタイム制御できる光ピンセット系を構築した.本システムにより,1ビームのレーザ光で複数微粒子の同時捕捉と光軸方向への移動が可能となった. 3.ひも状物質の3次元空間での操りの対象として,1分子DNAを検討した.3本のレーザ光でのナノビーズ集積法を用いた捕捉・3次元操作のため,蛍光染色した1分子DNAの蛍光観察系の構築と最適なサンプル濃度,蛍光波長等の検討を行った.今年度構築したシステムでは,光ピンセットビームと同軸照射した蛍光励起用レーザ光の強度が1分子DNAを観察するためには不足しているなどが原因で鮮明な像が得られなかったため,来年度システムを再検討することとした.
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