研究課題/領域番号 |
17560242
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松本 治 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (10358046)
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研究分担者 |
山田 陽滋 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 研究グループ長 (90166744)
朴 雲埴 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 特別研究員 (50443213)
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キーワード | 隠れマルコフモデル(HMM) / 転倒予測 / 動作解析 / 運動計測 / 福祉機器 |
研究概要 |
本研究では、人間行動におけるリスク事象を予測するため、人間の力学モデルをベースにした動作予測に確率論に基づく動作推論手法を融合したリスク予測手法を提案し、人間搭載型センサシステムを用いた転倒予測実験により、その有効性を実証することを目的としている。 平成18年度は、(1)転倒予測のために必要なセンサ配置の最適化に関する検討、(2)小型軽量かつ無線の人間搭載型センサシステムの開発、(3)福祉機器(歩行器)使用時における上記センサシステムを用いた転倒防止技術の実証に関する研究を行った。まず、対象とする転倒現象を、転倒事故が多数報告されている歩行器使用中の転倒に限定し研究を進めた。歩行器は通常両腕を伸ばして使用することが多いため、転倒を判別する指標となる人間の重心位置推定には、両腕、胴体、両大腿部、両下腿部の合計7箇所にセンサを配置すれば良いことが分かった。センサシステムは、小型の加速度計、レートジャイロ、磁気センサが2cm角でパッケージされた安価な3Dモーションセンサを7個使用し、信号処理用ボードパソコンを搭載した人間搭載型センサシステムを構築した。転倒予測については、前年度検討を行った隠れマルコフモデル(HMM)を使用したデータ処理系をベースに改良を加えたものに、開発したセンサシステムの信号から算出した重心位置・絶対速度・移動方向の3つのセンサ信号を入力し学習を行うことにより、転倒に向かう危険な状態と安全な状態を時々刻々判定するアルゴリズムを構築し、転倒危険性が高いと判断した場合はビープ音にて使用者に警告を発するシステムを開発した。この人間搭載型転倒予測システムを装着した歩行器使用時の転倒予測実験を行い、信頼性や転倒のバリエーションへの対応については今後の検討課題であるものの、転倒状態に陥る前にその予測が可能であることを確認した(日本機械学会福祉工学シンポジウム2007にて発表予定)。
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