研究概要 |
本研究計画では可動アーチ構造に対する基礎解析と模型実験を行い、その結果を踏まえながら可動構造物の試設計を展開し、総合的な技術の取得を目指す。初年度では以下に示す(1)〜(3)の内容を実施した。 (1)VGTを用いたアーチ構造の運動学解析 アーチ構造の形状変化,限界を順運動学により解析した。1端部が固定された片持ち構造を応用し、その先端が他端に一致するように逆運動学の最適解を求めてアーチ全体の形状状態を決定した。同時に応力やひずみを考慮したFEM解析法を併用することで,アーチ構造の状態を把握しながら形状変化が可能な解析プログラムの作成を行った。このプログラムを利用することで,アーチ構造の形態創生、形状デザインへと応用する。さらに、本研究の前段階にあたる片持ち構造物の解析にも開発したプログラムを適用し,その有効性を確認する。 (2)運動学と動力学的解析の検討 アーチ構造の曲率半径が大きい場合や形状変化率がある程度の速度を有する場合を想定し,運動学と共に動力学的解析を実施した。本年度は各種の解析手法への展開を試みオイラー法やKaneの運動方程式等を利用し、アーチ構造の定式化を検討した。解析が複雑となるため本年度購入したワークステーションを利用し,計算速度の短縮化,並列計算法の検討を実施した。さらに、逆動力学的な解析にも着手した。 (3)平面アーチ構造の模型による検証 上記(1)、(2)の解析研究と平行して、VGTを用いた平面アーチ構造の模型設計および可動アクチュエーターの製作を行い、さらに制御システムの改良を実施した。模型の製作には申請者がこれまで実験に使用した片持ち構造の模型を改良,追加してゆくものであり,次年度に掛けて製作を行い,完了する予定である。
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