本年度(18年度)は昨年度実施した研究を継続し、アーチ構造物の解析および検証模型の製作を実施した。 (1)可動型トラスアーチの解析研究 可変形状トラスを用いたアーチ構造物の逆動力学に対する定式化を行い、アーチの形状変化と力学的状態を求めるプログラムの製作およびその特性を調査した。特に2点支持された平面アーチ構造に対し、作用する外力を緩和するような最適形状解析、また急始動、急停止などの大きな加速度が作用した場合の形状変化や力学特性の推移などを対象とした。この結果、アーチ構造の形状変化に対して、支持された端部を状況に応じて微小変化させることで、部材の外力作用緩和を促しながら効率良い運動状態が可能であることを見出した。 (2)近未来型可動構造物の試設計検討 可動型の平面アーチ構造を躯体とした可動構造物の試設計を継続して実施した。アーチの形状変化に伴って外装パネル部材が3次元的に動く機構を考案し、この部分機構に対する運動解析および構造解析を行い、試設計に対する動きの範囲や部材条件(アーチ躯体、駆動装置、外装機構、外装パネル等)を整理した。これらの結果を基に次年度では構造全体の設計を行う予定である。 (3)試設計に基づく部分検証模型の製作 昨年度より継続製作中の可動型の平面アーチ模型を完成させ、実際に稼働させるための制御システムを構築した。制御システムは手動・自動操作が可能であり運動学、動力学を考慮したシステムを適用中である。一方、付随する外装部材は(2)の解析結果を基に製作し、可動アーチ部分と自在ジョイントで結合した3次元機構からなり、アーチの動きに追随するように外装パネル部材が動く部分模型である。今後この部分模型を基に構造全体の可動状態、付随する外装機構、制御システムの検証を実施して行く予定である。
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