研究概要 |
本年度(19年度)は昨年度実施した研究を継続し、可動アーチ構造物の設計手法の確立および部分模型による実験検証を行い、その成果をまとめた。 (1)可動型トラスアーチの構造解析検討 これまで実施した運動学や動力学的解析と有限要素法による構造解析を結合し,トラスアーチの形状変化と構造状態を同時に求めるプログラムの作成およびその検証を実施した。この結果,アーチ構造の形状変化に対する各部材の応力状態を随時把握でき,可変形状トラスを用いた各種の可動構造物(例えば,片持ち型の開閉屋根,可動モニュメント,その他)への利用展開を検討した。 (2)近未来型可動構造物の試設計検討 可動アーチと外装パネルを統合した構造物全体の設計を行い、近未来型の可動型アーチのモデルを完成した。特に,アーチ構造の形状を様々に変化させ、追随する外装パネルが全体として動く様子やその効果を動画像によって明らかにした。また同時に各種部材の動的挙動、構造特性を解析し、実設計に向けたデータを取得した。 (3)試設計に基づく部分模型の実験検証 昨年度に製作した平面トラスアーチと外装パネル機構の部分モデルを用いて可動アーチ屋根の実験検証を実施した。特にアーチ構造と外装パネルを結ぶ中間機構の再検討,外装パネル間を結合する柔軟材の選定を行い,アーチの動きに追随する外装パネルの模型を完成した。この部分模型を用いて,アーチやパネルの複雑な動きをシミュレーション結果と比較し,問題点の抽出(可動部材の範囲や干渉域)や設計法へのフィードバックを行った。この模型実験の結果は実設計を行う際の基礎データとして活用できる。 (4)報告書の作成 これまでの研究内容の成果をまとめ、研究発表および報告書の作成を実施した。
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