研究概要 |
本研究の目的は,大気圧プラズマ発生のための新しい技術を確立し,その応用を模索することである.この放電方式は,低電位側の電極を静電容量で結合することによって,放電を自己消弧させて,大気圧で低温プラズマを発生するものである.さらに,容量結合した電極を平面的に多数配列することによって,大気圧プラズマの大面積化を図る.本方式では,静電容量の大きさを変えることによってプラズマへの注入エネルギーを容易に制御でき,従来の大気圧プラズマの発生技術である誘電体バリア放電とは異なっており,それと差別化できる.以下にこれまでの成果をまとめる。 (1)オゾン生成におけるメッシュ電極の効果:容量結合多極放電によるオゾン生成では、対向電極にメッシュ電極を用いる放電方式がオゾンの生成効率の向上に有効である。 (2)集積化型容量結合多極放電の特性:集積化した容量による容量結合多極放電は、従来の容量結合多極放電と同様な放電の原理で動作していることが確認され、容量結合多極放電の動作に普遍性がある。 (3)オゾン生成のための大容量化、及び放電の安定化:本方式の大容量化のため、20本の針電極を集積化し、針電極側に消弧コンデンサ360pF(18pF/本)を並列接続してオゾン生成を試みた。対向電極にはメッシュ電極を用い、放電の安定化のため電極系全体をガラス管中に設置した。その結果、酸素原料(純度99.5%)で最大で155ppmのオゾン生成濃度を得た。また、最大で19.5g/kWhのオゾン生成効率を得た。平成17年度の結果に比べてオゾン生成効率の向上が達成できたが、さらなる最適化が望まれる。 (4)容量結合多極放電は、スパーク型を示す場合には熱化の兆候が見受けられるので、ポリフロロカーボンやメタンなどの有機化合物気体等の改質や分解への応用が期待できる。
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