研究課題
本年度は主にIH調理器などから漏洩する磁界分布を測定し、その磁界により人体内部にどの程度、誘導電流が流れるかをできるだけ精密に評価するため、数値人体モデルとスカラーポテンシャル差分法(SPFD法)を用いて数値シミュレーションを行った。まず、IH調理器の漏洩磁界をいくつかの条件で測定し、磁流源のモデル化をおこなった。つぎに、日本人成人女性モデル、日本人男性モデル、アメリカ人成人男性モデルの計3種類の解剖学的人体モデルを用いて、モデルの違いによる最大誘導電流密度の比較を行った。また、誘導電流密度の面積1cm^2での平均化を行い、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインとの比較を行った。その結果、人体モデルによって最大誘導電流密度に大きな差異が生じること、ポータブル型IH調理器でIH専用鍋を用いた場合には、ICNIRPのガイドラインを超える誘導電流が体内に流れる可能性はほとんどないことを確認した。ただし、IH専用を謳っていない鉄鍋を用いた場合には、専用鍋の2倍以上の漏洩磁界が発生したので、十分注意する必要があることもわかった。さらに、人体モデルを波源の上下で分割したことによる計算負荷の低減について検討を行った。その結果、人体モデル分割によって計算結果の差異がほとんど生じることなく、計算負荷の低減につながる結果が得られた。
すべて 2005
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電子情報通信学会技術研究報告 環境電磁工学研究会(EMCJ) 105,454
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